春の息吹        小堺 高志       2008年5月12日

4月下旬、久しぶりにニューヨークとシカゴへの一週間の出張、土曜日に立ち、日曜日とアフター4は自由時間。ホテルはセントラルパークまで4ブロックの絶好地であった。

春のセントラルパークを散歩したり、パリのルーブル美術館に並ぶ、200万点におよぶコレクションを誇る世界3大美術館の一つであるメトロポリタン美術館、ブロードウエーのミユジカルに行ったりしてオフタイムを過ごす。出かける数日前まではどちらの天気予報も時々雨、シカゴも数日前までは冬の気候であったそうだが私が着いた日から春の息吹を感じさせる日々であった。私はかなりの晴れ男と自負している。

   
セントラルパーク                       自由の女神

そんな訳でここ数年、毎年参加しているマンモスのフィッシングのオープニング デーには参加できなかった。佐野さんと原ちゃんはその4月最後の週末マンモスで午前スキー、午後魚釣りのスケジュールをこなしたが、午後の釣り場はいいポイントは全て人が入っていて、かろうじて釣りは出来たが、成果は魚一匹と言う寂しいものであったという。

 

5月9日、私としては1ヶ月ぶりのスキー、張り切っていたのであるが実は数日前、ソファーで変な格好でうたたねしたせいか腰痛が出て、あまり過激に滑れない。今回は大人しく滑るか、と思っているところに佐野さんから電話、「先日から本格的に持病の痛風がでて、今回はマンモスに行っても滑らないで釣りだけにする」と連絡があった。原ちゃんのヘルニア腰痛はまだ手術を受けていないそうで、相変わらずの状態。今回は私までハンデイを背負ってのスキー行きとなってしまった。

佐野さんの所についても腰をいたわるようにゆっくりとした動作になってしまう。そこに佐野さん、さらに私の何倍ものろい動作で松葉杖を突いて登場。写真はダメだよ、と言われたので写真は載せないが、が、この痛々しさは言葉では説明できない。佐野さんの肖像権はずーと前から私が戴いている。



 

片方の膝が曲がらなくて地面につくだけで痛いそうで、薬を飲んでいるがすぐには効果がでないようだ。これは朝、釣り場に落としたらスキーの後で拾いに行くまでその場所から動けないのか?

12時ごろマンモスに到着。今回唯一の健康者、菊池さんが向えてくれる。頼りにしています。

 

佐野さんは朝5時半に起きて釣りに行く用意をしている。原ちゃんは二日酔いで目覚めが悪い。それでも6時半ごろ二人は釣りに向った。私と菊池さんは雪が緩む10時少し前ゲレンデに向う。今回からはキャニオンロッジが閉まっているのでメインロッジへ車で移動しなければならない。菊池さんも來シーズン用のシーズンパスを買い、今日から使用できるので、まずはメインロッジのチケット売り場に行きパスを受け取る。

まだ雪は十分にある。今月末のメモリアルデーの連休までオープンしているそうだが、今現在アメリカ本土で開いてるスキー場は3箇所くらいしかないはずである。今シーズンは例年より早く終わりそうであるが、やはり我々は恵まれている。

腰の心配があるので1本目はスタンプアレーを滑って様子をみることにする。あまり上下の振動なく中級コースを滑っている分には、痛みも少なく行けそうである。

しかし、少し急斜面になって気合をいれて滑ろうと思ったら、いててて、であった。残念ながら今回はモーグルは無理である。7本くらい滑って、もう今日は充分である。

 

12時にシャモニーのコンドに戻るとすぐに佐野さんと原ちゃんが戻ってきた。5時間の成果は1匹だけであった。

昼ごはんに焼き蕎麦と、この尊くも貴重な一匹のお魚さんの塩焼きを食べて2時半くらいからまたリベンジの釣りに向う。私も釣りのシーズンチケットを買う。38ドルである。そのまま魚屋さんに走ったらかなりの量のお魚を買える金額である。

ダートコースを10分ほど走ってクロウリー湖畔に着くと少し風があり釣り人は少ない。竿をセットして腰が痛い私は足が痛い佐野さんにラインを投げ込んでもらう。後は待てば回路の日よりありであるが、今日はさっぱり当たりがない。

しかし折りたたみの椅子に腰掛けると、起き上がるのに一苦労。この椅子の高さで前にかがむのが一番腰にこたえる。佐野さんの椅子は私のより、5CMほど高い。この5CMの違いが大きいので佐野さんの椅子にかわってもらう。ボトルで持ってきたワインをあける。結局魚釣りは一匹も釣れず、宴会で終わったのである。

今日の成果魚一匹はとんでもなく高価な魚となってしまった。シーズンライセンス$38.00X3で今期いまだ2匹。さらに我々の時間給を計算したら5時間X2名 プラス 3時間 X4名、今日のこのお魚は一匹2000ドルくらい?ヒェーであるが、好きでやっている事であり、我々は漁で生計を立てているわけでないから良いか。でも釣れない釣りは3時間が限度である。

     

  

帰って皆でジャグジーに行く。ビールを飲みながらリラックス。

そこで佐野さんに突然の謎賭け、「佐野さんオブレネリさん元気?」。さすが佐野さん、すぐに答えた、「スイスのオブレネリさん?」

オブレネリ貴方のお家はどこ、私のお家はスイッツランドよ。のオブレネリさんである。未だに時々思い出すスイスの風景である。あの後、対ユーローのドル価値はぐんぐん落ち続け、あの時高いと思ったスイスイの物価はさらに高くなっているはずである。こうもドルが安くなると来年のスキー遠征先はどこになるのやら。アメリカ国内?

 

よく朝、5時45分、佐野さんと原ちゃんが釣りに向う。私の腰の具合は朝起きたときは幾分良かったが起きたらやはり良くない。靴下を履いたり、靴紐を結んだりの動作が一番ひびく。普通この状態でスキーはしないと思うが、スキー馬鹿の私は行って一本滑って見ないと納得しない。普段の3倍時間をかけてスキー靴を履いてゲレンデに出る。今日はスタンピーアレーのゲレンデだけ滑るつもり。一本軽く流して、2本目は少し細かいターン。3本目についつい欲を出してフェイスの裏を行ったら、硬い雪面で腰にくる。ミルカフェまで降りて私の今日のスキーは終了。この季節モーグルを滑りたかったが、ここで無理をして悪化、慢性化させては何もならない。と言いながらすでに無理をしてしまった。

はるばるエルセントロから滑りに来た菊池さんにはもう少し滑ってもらって、11時にはあがる。

掃除をして、昼ごはんを食べて、12時を回った頃、釣り部隊が帰ってきた。成果は3匹、まだ高い魚だがだいぶ取り返している。
佐野さんも結構歩けるようになっている。


    
ゲレンデはガラガラ  腰痛を抱えて 数本 滑る
 

帰り道、シェラネバダの山々はまだ白い。しかし、手前の道路沿いに目をやると若葉がまぶしい。ビショップまでの景色はどこもかしこも今まさに春爛漫である。今月末には私達のスキーシーズンも終わる。メモリアルウイークエンドまでに腰痛を治し、もう一度モーグルに挑戦したい。やはりシーズン納めは体調十分で滑りまくって終了したいのである。2007年―2008年シーズンはまだしばらく続く。

 



佐野さんのびっこを笑った報いであろうか、その後 腰痛の回復が間に合わず、シーズン最後の週末にはまだスキーにいける状態ではなかった。残念ながらこれで今期のスキーシーズンは終わってしまった。今はもう腰の状態もよく、次のシーズンが待ちどうしいこのごろである。